大雲院

1587年 貞安上人開山
 

浄土教系単立寺院
 (もとは浄土宗知恩院派)
 

本尊 阿弥陀如来

 

 織田信長・信忠親子の菩提を弔うため、正親町(おおぎまち)天皇の勅命により建立。当初は天皇から与えられた御池御所の地に建立されたが、秀吉によって1590年に寺町四条に移される。
 その後、寺の周辺が繁華になってきたため、1973年に現在の地へ移される。もともとは現在の寺域は財閥の大倉喜八郎氏の別荘地であった。この地を某百貨店が所有していたのだが、四条にあった当寺の寺域とトレードすることでこの地に移ってきたそうだ。
 現在も境内には、別荘の名残で別邸が書院として、そして祇園閣がそのまま残っている。
 この書院と祇園閣は、伊藤忠太氏の設計による。そう、築地本願寺や平安神宮を手がけた建築家だ。
 高台寺に程近い場所に大雲院はある。伊藤忠太の設計と言うことで、ずっと気になっていたのだが、通常は公開されておらず、文化財特別公開の機会があったので、これは!と思い、行ってみた。
 まずは本堂。昭和に建立されただけあって、コンクリート造り。本尊は丈六の阿弥陀様。大きい。このときは本堂の壁に釈迦三尊と五百羅漢の掛け軸がずらっと掲げられていた。江戸時代の作者だったと思うが(←ごめんなさい、忘れました…)、ユーモラスな絵で、お獅子が可愛かった。
 そして、祇園閣へ。その名の通り、喜八郎翁が、年中祇園祭気分を味わいたい(?)と思い山鉾を模して建設したそうだが、実際には完成前に亡くなっているようだ。鉾先にいる鳥は、鳳凰ではなく鶴。威容を誇っている。
 この地へお寺が移ってきたときに、阿弥陀如来像を安置し、さらに後に敦煌の壁画模写を内部に描き、宗教色を強くした。
 伊藤忠太設計だけあって、中のランプが怪物風の生物になっていたり、祇園閣の前にいるのが狛犬ならぬ狛ライオンだったり、思っていた通りに素敵な建物だった。蓮型のランプも可愛かった。ただ、写真撮影は禁止。残念。階段をのぼり、上からの眺めも、絶景。比叡山や愛宕山も見渡せる。吹き渡る風が気持ちいい。
 そして、非公開ながら書院も伊藤氏設計で、日本家屋風のものも設計するんだ~と意外な驚き。ただ、やはりそこは伊藤氏。八角形の応接室があり、そのあたりがひとひねりある。う~ん、中が見たい…(笑)。
 宝物殿には信長縁の茶道具などが展示されていた。
 また、境内には石川五右衛門の墓もある。